飲食店が多店舗化を図る際に、最も困難なことというのは、「スタッフの意識、考え方を同じ方向に向けること」
なのです。
店舗数が少ない時は、経営者が直接スタッフに話しかけたりする機会が非常に多いので、経営者の考え方、会
社の方向性などがスタッフに伝わりやすいのですが、スタッフの数が増えてくると徐々に経営者とスタッフとの
間に距離ができ、経営者の考え方がすべてのスタッフに伝わりにくくなるのです。
そうすると、スタッフから見ると社長という存在がどんどん遠くの存在になり、「社長が何を考えているのか、どう
思っているのか」が分らなくなり、それが不安へと変化し、その不安がどんどん重なっていくと、ちょっとしたこと
で社長に反発したりするなどといったことが起こりやすくなるのです。
このように、冷静に考えれば分かるのですが、要はスタッフに対して会社の方向性や考え方などを事あるごとに
伝えていない、つまり、コミュニケーションが不足するとスタッフの統制がとりにくくなるのです。
スタッフとのコミュニケーションというと、「スタッフと酒を飲んだりすること」と考える人もいますが、それだけがス
タッフとコミュニケーションを採る方法ではありません。
私のクライアントさんには実践していただいているのですが、毎月1回全社員を集め、勉強会を開催するようにし
ていただいています。こういったこともスタッフとコミュニケーションをとる方法なのです。
この勉強会は単に社員教育の場として活用するのではなく、社員に対して今会社はこういう方向性に進んでい
るとか、社長は今こんなことを考えているなどを社員に伝えることが大きな目的なのです。
最初はスタッフの方もこういった勉強会になれないですから、とまどいもあるでしょうがこういった勉強会を毎月
開催し、社長の考えをしっかりとスタッフに伝える機会を設けることは非常に大きな意味があるのです。
そして、こういった場面で「経営理念」の話をするなどして、会社の成り立ちや基本的な考え方を、話していくこと
も重要です。
経営理念は、「作るのは大事」だと理解している人は多いかと思いますが、それをスタッフ全員にしっかりと「伝
える」努力をしている会社は非常に少ないと感じます。だからこそ、スタッフの統制がとりにくくなるのです。
経営理念は、会社及び店が何のために存在し、そして社会に対して何を提供していくかを表現したものです。
こういった勉強会で、自社の経営理念について、スタッフ同士で討論をする機会も設け、経営理念について考え
る機会としてこの勉強会を利用することもできます。
店を増やしていくためには、人が必要ですが、この理念に共感してくれる人をどれだけ増やせるかが勝負とも言
えるのです。
そのためには、会社の基本的な考え方である「理念」をつくり、それを全スタッフまで浸透させる機会を設け、粘
り強く継続していくことがとても大切なのです。
たとえ仕事ができても、会社の基本的な考え方と違った行動する人がひとりでもいれば、その会社の成長は必
ずどこかで止まります。
時間はかかるし、非常に労をある仕事ではありますが、これを行うことが経営者の仕事なのです。強い会社を作
りたい人は、ぜひ実践してみてください。
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